Friday, January 22, 2016

壁にぶつかるボールが円周率を作る

2015年2月号の数学セミナーの時枝先生という方の「ちいさい数理みつけた」という記事の中に、壁にぶつかる2つの物体の話が出てくる。

最初、mは静止しており、Mがぶつかってくる。左端には壁があって、床はツルツルしている。mは弾き飛ばされて壁とMに何度もぶつかる。その回数が問題。

質量m, Mの間に $\frac{M}{m} = 100^d,  (d=0,1,2...) $の関係がある時に、衝突の回数が円周率のd桁になるという不思議な話だ。
この記事にはそのことしか書いていないので、自分で確かめよう。

久しぶりに高校の物理を思い出して、m, Mそれぞれの速度をu, vとし、エネルギー保存の法則と、運動量保存の法則を解けば良いことに気づく。衝突後のu,vをそれぞれu',v'とすると、
$mu + Mv = mu' + Mv'$
$\frac{1}{2} mu^2 + \frac{1}{2} Mv^2 = \frac{1}{2} mu'^2 + \frac{1}{2} Mv'^2$
壁に向かう方の符号を正としている。
これを解くと、以下のようになる。

$ \begin{pmatrix}
u' \\
v'
\end {pmatrix}
= \frac {1}{m+M}
\begin{pmatrix}
2 M & m - M \\
M-m & 2 m
\end {pmatrix}
\begin{pmatrix}
u \\
v
\end {pmatrix}
$

mの速さは壁にぶつかっても変わらず、符号だけ変わる。m,Mが衝突すると、mは壁にもぶつかってふたたびMに衝突する。

問題なのは停止の条件で、Mが押し返されて右向きに動き始めてからも、Mの速さよりmが上まわればまた後ろから衝突する。mの方がMより遅くなっても、一回だけ壁にぶつかる。

回数をカウントするプログラムを書いたのが以下。$r = \frac{M}{m} $ とし、$ v = 1$ とした。

結果、以下のように円周率に従っている。

0 3
1 31
2 314
3 3141
4 31415
5 314159
6 3141592
7 31415926
どこにも円周率らしきものがないのに、結果として円周率になっているのが不思議である。

停止の条件が自分ではよくわからず、時枝先生の記事にはロシア人らしき人の名前が引用されているだけだったので、元ネタの所在も分からなかったのだけれど、「衝突 円周率」で調べているうちにNY Timesの記事が見つかって、そのアニメを見て停止の条件がわかった。というかこのアニメ、前に見たような気がする。


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(2/6/2016)
2つ後の記事に書いたがブログにtexで数式が書けるようになったので、式のところを直した。

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